アンサンブル・プラネタは、これまでクラシック音楽をステキな女声アンサンブルとして数多く発表してきましたが、この「日本の抒情歌」という企画はあるようでなかったわけでワクワクして聴きました。
西條八十作詞、服部良一作曲という黄金のコンビによる戦前の名曲「蘇州夜曲」の透明な歌声に魅了されました。絹糸のようなという例えの通り、細く透き通る魅惑の声が生み出す光沢のある高級織物のような旋律線とオブリガード、対旋律のからみによる重層的な構造が秀逸です。何色もの糸を紡ぐようなポリフォニックな処理を施した書上奈朋子の編曲の冴えがこの1曲を聴くだけで理解できます。厚くなったり薄くなったりする変幻自在のハーモニーの織りなす「蘇州夜曲」は、戦前のバラードなのに、どこか中世的な雰囲気が漂い、不思議なハーモニーに至極満足しました。
日本古謡の「さくらさくら」もありきたりの楽曲の構成ではありません。精緻なアンサンブルで各声部を効果的に重ねることによって、その特徴である繊細で万華鏡のように変化するハーモニーが生まれます。少し残響を施し、各パートを響かせた録音ですので、倍音が豊かに収録されています。大聖堂の中で聴いているような広がりを受け取りました。
「とおりゃんせ」も過去に耳にしたどの編曲よりも凝っています。わらべうたの持つ味わいを損ねることなく、現代的な合唱作品のような格調の高さが伝わってきます。遥か昔の幼き頃の風景が目の前に浮かびました。
以下は省略しますが、全く聴き飽きませんし、高い水準の仕上がりを感じました。