というのが、一冊を終えての私の感想でした。もちろん本の内容を否定するものではないのですが、本当に何も知らない人は、まず理論がないと曲は作れないと思ってこういう本を手に取ることもあるだろうと思います。そして、そのような考えで私はこの本をまず手にとって一冊やってみたわけですが、結果として、2ヶ月ほどこの本で勉強した結果、この本に書いてある問題くらいなら余裕で解けるようになりました。つまり、コードは読めるようになりました、シャープやフラットの数で調が何か特定することもできるようになります、典型的なコード進行は理解できますし覚えられます、スケールの種類も一通り覚えられます。ドミナントモーションとか転調だとかテンションとかいう難しそうな用語が飛び交っても怖くありません。しかし、曲は作れません。
曲のコードネームだけ書いてあるのを見てみて、ここは何進行とか、そういうのは最低限は読めるようになりますが、それだけですね。じゃあ具体的にそのコードをどんな楽器でどういう風にボイシングすればいいのかとか、実践的なことは一切書いてないのでこれをはじめの一歩として選択すると「それは分かったけどじゃあどうやって曲にすればいいの?」と、読めば読むほど理論だけが無駄に先行していく形になり、実際の制作にうまく活かすことが出来ず逆にもやもやした気分になります。まず最初は、よく分からないけど曲を作ってみようみたいなもっと優しい本、要するに実践的な書籍で勉強した方がいいと思います。それで物足りなくなったらはじめてこの本を手に取ればいいでしょう(より実践的な書籍は現在探しています)。
というのが、私みたいな「まず理論だろ」と思ってこういう本を最初に手に取ろうと考えている人への参考程度の意見ですが、本の内容としては、まず説明があって、すぐ後に練習問題が設置されているようなかたちです。説明はお世辞にも丁寧とはいえず、練習問題は量が多いですが、全部やれば絶対身につきます。解答は答えだけで、特に詳しい解説があるわけではありませんが、説明を見れば答えへの手掛かりは絶対に乗ってるので、特に詳しい説明が必要ということもないでしょう。これは参考書、"ポピュラー音楽理論"が教科書みたいな位置づけのようですが、あっちは正直買わなくていいと思います。あっちの説明はほぼこちらにも全部同じものが書いてあるのと(ワークブックにないのは実際のコード進行例くらいですが、実は練習問題として結構同じものが登場してたりします)、正直この2冊は分かりやすい説明ではないので、教科書として何か欲しいなら別の物を選択した方がいいです。
本当に理論を習得したいというやる気があるなら、この1冊だけで最後まで行くことは十分可能でした。つまり、最低限のことはこの一冊で完結できるよう出来ています。このページ数の情報量を吸収し、練習できるという自信がないのなら、もっとお気楽な本で勉強した方がよいと思います。実際、作曲するためには、私みたいにこれ1冊だけ仕上げたところでどうにもならないわけですし、とにかく作りたいというのならもっといい他の選択肢があるはずです。