1995年に刊行された『日本のいちばん長い日―運命の八月十五日』(文藝春秋)の文庫版である。単行本は絶版ではないが、手軽に読んでみたい方には文庫版をお薦めしたい。
戦後60余年が経つが、現代日本の原点はやはり「昭和20年8月15日」にあると思う。
本書は、今まで日本が経験したことがない「敗戦処理」を、どう進めたのか、昭和天皇の「聖断」を受けた鈴木貫太郎内閣の動きを軸に克明に記録した著作である。昭和史の第一人者である著者の代表作だけあって、詳細な筆致に当時の動きが浮かび上がってくるようだ。
玉音放送阻止を企てたクーデターに動いた青年将校の動きも、「昭和20年8月15日」の意味をさらに深くさせている。何より阿南惟幾陸相の自刃が、帝国陸軍最後の「道」を示すようで印象深い。
先の大戦に対してはいろいろな歴史観があるが、あくまで事実を時系列で記したこの著作は、あまり特定の歴史観に左右されず、読むことができよう。