先日、某展覧会で池田学さんの「ブッダ」と対面し、その精緻で観る者を圧倒する作品に強く惹かれました。ネットで検索すると『池田学画集1』が刊行されているのを知り、早速時間をかけてじっくりと眺めました。
実物と対面した「ブッダ」は18・19ページに見開きで全容が掲載されてあり、20〜24ページにはその部分が拡大して紹介してありました。拡大されればされるほどその精密なペン画の素晴らしさに感心すると同時に、根気強く描いている筆者の姿が浮かび上がってくるようです。この素晴らしい細密画を眺めていますとどこかしら怖くなってきます。まるで夢の中の世界のようでもあり、この世のものとは思われないという表現が思い浮かびました。
技術的な冴えだけでなく、58ページの「興亡史」のように戦国の世の城を重ね合わせたモティーフは斬新であり、絢爛豪華な戦国時代と儚い運命の両方が感じられるような作品になっていました。書き込まれた細部を眺めているだけで時間はどんどん経ちます。飽きることはありませんし、ますます池田学さんの才能に畏怖の念が湧いてきます。
巻末に、片岡真実氏の「宇宙の空」に、これらの作品群の解説がありました。「労働集約的かつ瞑想的、いわば修行にも似た丹念な製作過程」とは言い得て妙でした。この世界的にも珍しい画風の画家ですので、言葉で表現するのも難しいはずですが、池田さんの個性や特徴を実に巧く捉えていたと思います。
池田学さんのあとがきもまた芸術的な文章で、興味を覚えながら読みました。いずれも英文と中文で翻訳されていました。