物語は江が秀忠に嫁いだ時から始まる。 最初に驚いたのは婚礼は3回目なので嫌気がさした江は婚礼では侍女を替え玉にしたことである。
登場人物の中で一番インパクトの強いのは謎の付き人「京」である。 京は侍女ではあるが実は男の忍者である。 京を男と見破ったのは信長、江、秀忠のたった3人である。
江の心の中には二つの人格が備わっている。 一つは本人本来の人格で、それは心の中に住む小さな女児に例えられている。 その女児は江の心の中にもうひとついる魔王にいつもおびえているが、秀忠を気に入っているようだ。
もう一つの人格は魔性の強い信長のそれである。 亡き信長があたかも江の心の中に生きているような感じである。
時に見せる人間離れした悪魔のような所作はまるで発作のようである。
ほぼ同じ時代に活躍した大予言者ノストラダムスをも凌ぐ江の予言能力は絶大である。
秀忠が上田城攻めで時間を掛けすぎて関ヶ原に遅着するのも江は十分に計算していたのだ。
「おそらくあの者は父親(家康)以上に戦下手ぞ。 下手に関ヶ原なぞに出向いたら命を落とすわ」という江のセリフを読んで思わず笑ってしまった。
「江に少々なめられていますぞ。 秀忠様、もう少ししっかりなさいませ」と言いたい。
江を二重人格者のように描いているが、この作品を読むと引き付けられてしまう。 続編が楽しみである。
追記 江の姉である初様が全く登場していない。 出してあげなければいかんよ。