戦後、海軍兵学校の卒業生が江田島で過ごした兵学校時代を回想した書物は沢山ありますが、本書が他と異なり興味深かった点を2点ほど挙げたいと思います。
1つ目ですが、著者の徳川宗英さんは大変ユニークなバックグラウンドをお持ちであることです。
徳川さんの生い立ちを簡単にまとめますと、1929年英国ロンドンに生まれる。田安徳川家第十一代当主。
兵学校解散後、学習院を経て慶応義塾大学工学部卒業。石川島重工業に入社、1995年退職。
つまり、徳川家の血を引く本物のサムライであるという事です。
「正真正銘の武士」が見た海軍兵学校が、大変わかりやすい言葉で書かれています。
2つ目は、最後の兵学校生徒(第77期)であったため、卒業はおろか、戦争にも行っていないという点です。
兵学校に入学後わずか4カ月余りで終戦を迎えたため、江田島での教育や生活にあまり否定的ではなく、当時の戦況なども含め、かなり中立的な見地から回想している点です。作品の全般を通して、著者にとって、江田島は良い想い出の方が多かったのだなと感じます。
暗い話題が続く内容だと、「あぁ、やっぱりそうだったのか。。。」と気持ちも沈みますが、そういった意味では本書の場合は、江田島教育の現代でも見習うべき優れた所にスポットを当てているため、こういう人たち(教育)が日本の戦後復興に一役買ったのだなと感心しました。
読みやすい内容で、数ある海軍兵学校の書物のなかでも、特に秀作だと思います。