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江戸藩邸物語―戦場から街角へ (中公新書)
 
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江戸藩邸物語―戦場から街角へ (中公新書) [新書]

氏家 幹人
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦乱騒擾の終焉とともに泰平の世を迎えた江戸時代、武士社会には新しい秩序と作法の整備を求める改革の波が押し寄せた。ことに、なにかと幕府の干渉を受ける江戸藩邸では、いらぬ争いや摩擦を避けるために、遅刻・欠勤の規約、水撒きの作法など、瑣末なまでの約束事が定められた。しかし、時代は変わっても武士は武士、体面もあれば意地もある。場所を戦場から江戸の街角に移して起こる悲喜劇に、変革期に揺れ動く武士の姿をみる。

登録情報

  • 新書: 222ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1988/06)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4121008839
  • ISBN-13: 978-4121008831
  • 発売日: 1988/06
  • 商品の寸法: 17.4 x 11.2 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By syuji
形式:新書
本書は「戦場から街角へ」という副題にみるように、江戸初期から中期の転換期にかけて武士の文化がどう変化していったかを見ていく興味ぶかい概説。

本書にえがかれている変化は一言でいえば、武士が荒々しい戦闘者から組織の一員たる給与生活者へと到る道筋です。まだまだ戦国の遺風が残る江戸初期の武士は、やれ昨日は勤務外の仕事をしたから疲れただの、どうも朝起きるのが苦手だのと言ってはあたりまえに遅刻欠勤をし、仕事中でさえ勝手に昼寝を重ねるぐうたらかと思えば(このテキトウさは我々がふつうイメージする「武士」とはかなり違っています)、刀の鞘がちょっとかち合っただけで、いきなり路上で殺し合いを始めてしまったりもする大変扱いにくい生き物でした。

しかし、戦場で命を張るのがまず仕事だった戦国時代が終わり、徳川安定政権のもとで幕府と各藩が組織を整え、ルーチンワークで毎日を組み立てていくようになった新しい時代では武士もそんないい加減では困ります。そこで、組織の側は皆勤賞や遅刻欠勤の罰則などによって武士の時間を細かく管理するようになり、また、以前は鼻先を横切られれば即修羅場を現出した大名行列も、できるかぎり通行人の無礼をガマンするようになります。一方では、大使館として一種の不可侵性をもっていた「藩邸」も、火事への対策などを理由にしてわずかずつですが幕府権力に踏み込まれるようになっていくのです。また武士の私生活においても、主君と家臣というタテの論理を破壊しかねない過激さをもった恋愛=私的関係である「衆道」その過激さにおいて衰弱していくことになります。それらの「時間」や「場所」などの管理化を支えたのは、時計というテクノロジーの積極活用や、各藩の藩邸がひしめく人口過密都市江戸のスムーズな交通と安全を確保するという「都市の論理」、さらには「組織の論理」でもありました。

そして最後に武士の課題としてたちあらわれるのが、戦で早死にすることがなくなったからには必然的におとずれてくる「老い」の問題です。著者はここで、家人に早寝早起きを強制し(かなり迷惑な主人です)、自らもひたすら長生に精進するほとんど「健康オタク」のごとき旗本、天野長重をとりあげています。しかし偏執的な「健康オタク」に見えるこの天野長重も、その長生き指向は主君に仕える武士という職業倫理と一族を指する長としての明確な責任に支えられたものでした。彼の長生き指向は現代の「健康オタク」のような単なる自己目的ではなく、武士としての着実な人生設計だったのです。その点に、我々は転換期に人間いかに生きるべきかのひとつのスタイルを見ることもできるでしょう。

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形式:新書
江戸時代の武士たちのエピソードを盛りだくさんに集めたものです。命よりも大切な意地と面子。ほんの些細なことで切腹やお家断絶という目に会い、「死」がとても身近にあった時代の実話があれこれとあり、またそれを食い止めるべく幕府や藩の「定」もだされている。荒々しい時代から平和な時代に向かおうとして、上から下に至るまでそれはそれで模索の難しさがあったのでしょう。時代劇のネタのような話がたくさん集められていてとても面白かったです。
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