本書は江戸文化を専門とし、法政大学教授である著者が
江戸時代に人気のあった歌舞伎の<怪談物>について
演目や演じられ方、その変化を検討することで
江戸文化や怪談の本質に迫る著作です。
まず驚くのは、
四谷怪談でおなじみのお岩をはじめ
玉藻前にオサカベ、化け猫など
歌舞伎に登場する<物の怪>の多様性や、
歌舞伎の大ヒットを踏まえて作られた
製作された読本や役者名義合巻などの<コラボレート・グッズ>
なかでも、人間を脅かすためにやって来た本物の妖怪が
尾上松緑が演じる怪談歌舞伎を見てゾッとして逃げ帰る―
という『古今化物評判』は、国会図書館にあるので、いつか見たいと思いました。
また、個人的に興味深かったのは
歌舞伎に登場する「化ける女性」は
男性である歌舞伎役者が演じることで両性具有性を具備し、
そのことによって、舞台が非日常性を帯びた―という指摘や、
お岩とフランケンシュタインには「出産」などの類似性があるという指摘。
両性具有性や「出産」などの要素は、
鈴木光司さんの『リング』にも通じるものがあるので
こうした観点からいろんなホラーを読み返してみると面白いかなぁとおもいました☆☆
江戸文化・怪談文化の奥深さを知ることができ、
読み終わった後には、歌舞伎を見に行きたくなること必至の本著
歌舞伎ファン、ホラーファンならずとも好奇心を刺激されること間違いなしです☆