「世渡り上手」「築城の名手」と評される藤堂高虎。これまで藤堂高虎に関する一般書というものはほとんどなく、一般書としてとりあげられたことは非常にうれしい。
本書は現代の地方分権を藤堂高虎の藩(くに)づくりという視点で問題提起したものだが、彼の思想形成、築城、藩経営、徳川家との関係など一通り彼の生涯を敷衍している。また大阪の陣におけるキリシタン、牢人についての叙述は当時の社会及び高虎の政治状況を知る上での下敷きとなっている。
城郭ファンや藩政研究には物足りないかもしれないが、藤堂高虎について全般的な情報を提供してくれる一書である。(なお徳川家康に近づいた他の大名(山内一豊や浅野幸長など)との比較がもてれば、一層の藤堂高虎の特色が浮き出たのではないか?)