収録されているのは「二銭銅貨」、「D坂の殺人事件」、「心理試験」、「白昼夢」、「屋根裏の散歩者」、「人間椅子」、「火星の運河」、「お勢登場」、「鏡地獄」、「木馬は廻る」、「押絵と旅する男」、「目羅博士の不思議な犯罪」の12篇。もちろん乱歩にはほかの選集もありますし、文庫版の全集もあるわけですが、この短篇集はなかなかよい選択ではないでしょうか。乱歩をちゃんと読んだことがないけれど読んでみたいという人が、最初に手に取るのに適しているように思います。
大正から昭和初期にかけての東京を舞台に展開するサディズム、マゾヒズム、フェティシズムに満ちた暗い物語世界が、じゅうぶんに堪能できます。鏡やレンズ、人形への執着ぶりは、やはり特に印象深いですね。既にレビューされているとおり、解説の文章も充実しています。