大変な労作である。
本書には、乱歩の小説に登場する人物や事項についての解説と、その出典が網羅されている。
このような辞典は、今日ではパソコンを利用すれば、かつてより手間をかけずに、しかも正確に作成できるだろう。
しかし、その前提となる、どの項目を取り上げるかという作業は、人手をかけなければ出来ない。
ただし、乱歩偏愛の著者のことである。
その人手が必要な項目のピックアップ作業を、かなり楽しんでやっていたのではないだろうか。
本書を読むと、著者がいかに本書の作成を楽しんだかということが、その苦労とともによく分かる。
そして、商業出版としてはすべての項目を収載するわけにはいかないから、泣く泣く落とした項目たちに対する哀惜の情もまた。
乱歩マニアの私にとっては、乱歩本の一冊として貴重なものであり、ときどき出してパラパラと見ている。
たしかに高価である。
沖積舎の「覆刻版探偵小説四十年」並みの価格だ。
しかし、著者の苦労に対する対価である。
でも、なんで乱歩本は「明智小五郎読本」といい「日本探偵小説辞典」といい、高い本ばかりなんだろう。
まあ、その分、豪華保存版であり、本書も箱入りハードカバーでずっしりと重いから、筋トレにもなる。