『孤島の鬼』の主人公「私」は美貌の青年。彼を愛する年上の青年の悲哀と、彼が愛した娘の殺人から物語は始まる。そして「私」が巻き込まれる悲劇とおぞましい体験は、短期間で彼の頭髪を真っ白にさせるほどのものだった。同性愛と異形なる者の陰翳に隈取られつつ、血塗られた殺しがそこに重なった、濃密で粘度の高い<語り物>である。
『孤島の鬼』と『猟奇の果』は昭和4年から1年に1作のペースで間断なく雑誌連載され、整形外科手術による「人間改造術」をその共通プロットに持つ。しかし完成度において『孤島の鬼』にはっきりと軍配が上がる。『猟奇の果』は途中でストーリーの破綻をきたし、後半で明智小五郎を登場させるが、姑息な急場凌ぎも上手くいかなった。才能豊かな乱歩にしてさえ起こった失敗だが、それをこそおもしろさとして受け止めることもできよう。
装幀のカバーに使われた勝本みつるのオブジェ・コラージェが妖しさを演出。見返しには初版本の写真もカラー掲載されている。(松平盟子)
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またそれにより、この全集が時が経っても乱歩の新たなスタンダードになる可能性もあります。
理屈はどうあれ、読めば分かる!
「猟奇の果」は完全な失敗作でしょう。だから全体としては星4つ。
前半と後半で別の話になってしまって整合性がとれてない。乱歩自身も失敗作と認めている。
しかし、江戸川乱歩全集なのだからこういう失敗作も資料的価値はある。
また参考資料として本編とは別の結末も収録されているのも興味深い。
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