スタンダード・サイズで不満だという方もいますが、映画はもともとスタンダード・サイズの文化だったわけです。それは視覚的に最も安定して、凝縮された画面構成になるからでしょう。小津作品は全部スタンダードですし、あの日本映画のアクションの最高峰「七人の侍」だってスタンダード。映画業界がビスタやシネスコといったワイド画面を導入したのは、テレビの台頭に対抗するためのちょっと野蛮な策だったわけです。映画通ほどスタンダード画面を愛して、むやみなワイド画面を嫌ったりしますよね。他のレビュアーの方も書いておられますが、私も平凡社新書の「ロマンポルノと実録やくざ映画」の「陰獣」をめぐる文章を読んで、「なるほど、この映画はもともとスタンダードだったのか!」と勉強になりました。この本の筆者はたまたま当時スタンダードのまま観ることができたようですが、私は確か公開時にはビスタで観たような気がします。そんなわけで、このDVDのおかげで加藤泰の希望したオリジナルの濃密な画面が味わえるというわけです。しかし、サイズのこともさることながら、この作品の香山美子の妖艶さにはため息が出ます!!そして加藤泰の語りも、息苦しいほど濃い!見ごたえあります。