2007年11月4日の第2回江戸文化歴史検定で1級が初めて実施される。受験資格のある2級合格者(2006年約1,500名)としては、「1級問題の約5割が本書から出題」とおどかされると購入しないわけにはいかない。
406頁に縦書き2段組で活字も、内容もびっしり満載だが、使用はなかなかむずかしい。
まず、目次が不備。例えば第四章江戸の営みは次の3節から成る(かっこ内は小節名)。
1.町のハード(都市構想、流通と交通、ライフライン)
2.町のソフト(町の仕組み、警察と裁判)
3.江戸の生業(商人、職人、さまざまな生業)。
目次には小節名までしかない。ここからライフラインを開くと、上水道の普及、下水・塵芥の処理、下肥、リサイクル、養生所、町火消の各項目がある。この中には、水元役、葛西船、浅草紙などの重要と思われる用語が存在し、リサイクル関連業の表もある。しかし項目名が目次にないのだ。
一方、多彩な内容を現す用語の索引もない。1級を目指すならば自分で用語集を作りながら読む、などの努力が必要だろう。
内容についての大きな不満は、浮世絵の無視である。第六章第1節文化の小節「絵画」から浮世絵は完全に除外され、摺りの技法は「出版」の中で言及されているものの、「主な画家」14名の表(255頁)には菱川師宣があるのみ。浮世絵を外して江戸の絵画が論じられるだろうか。春信は司馬江漢の師として、北斎は娘の葛飾応為の父親として文中に記述はあるが、世界中に著名な喜多川歌麿も、歌川広重も全く無視されている。鈴木春信、葛飾北斎の業績も記述が見あたらない。多数の執筆者間の調整不備による手落ちと推測される。改版時の改定を期待する。