読売新聞の読書欄で、西村賢太氏が紹介していたのを見て、手にした一書。
高田氏自らが敬愛する戦後の東京お笑い芸人衆を紹介するアンソロジー。
採り上げた芸人と、その紹介者らの人選に、氏のお笑いに対する考え方や嗜好、人脈などが良く現れている。それに高田氏自身がこれまで、お笑いの世界でたどって来た人生を、生きのいい東京言葉でつづる半生記が併録されている。
テレビでちょくちょくその姿を目にしてはいたが、この人の本を読むのは初めて。こんなに流暢ないい文章を書く人だとは思わなかった。若い頃落語に、それも特に立川談志に心酔していたというのだから、さもありなん。
それにしても、江戸東京弁がこんなにもリズミカルで楽しいものだと言うことを、初めて認識させられたように思う。恐らく、西村氏も自身東京は下町(江戸川)の出であり、自ら書く文章のルーツとしての江戸東京言葉に対する愛着から、この本を紹介されていたのだろう。
江戸前の笑いは、江戸前の言葉と人情に支えられているという事を改めて認識させられると共に、東京言葉の素晴らしさを懐かしい芸人たちの思い出にのせて甦らせてくれる(久しぶりに、談志や渥美清の声が聞きたくなった)。
東京に居ながら東京弁の良さを忘れ、言葉に自信を失いかけている東京生まれの人たちに、特にお薦めしたい(H24.1.21)。