戦国期に伝来した鉄砲。
江戸時代の平和が訪れ、さまざまな武芸が体系化されていったのと同様に、鉄砲の術もまた体系化され、いくつもの流派が生まれた。
本書は、その中でも「関流」という砲術の流派について紹介している。
伝書や資料の乏しい砲術の流派において、唯一豊富な資料が遺っているのがこの関流だからだという。
本書を読んで面白かったのは、戦国期には実用一点張りの技術だったものが、平和な時代に入ると急激に思想面の裏付けがなされていったという事実である。
仏教などの理論的用語が転用されて、技術の体系化が進められたのだ。
剣道などがそうであるように、砲術という生々しい技術すらも近世期には「思想化」されたといえる。
余談だが、はるか後の幕末ごろになると、不安な世情もあって砲術は一躍脚光を浴びることとなった。
しかし、維新の頃には西洋の新式銃が導入されており、じっさい火縄銃の出番は少なかったという。