江戸時代という成熟の時代に、我々の祖先は緻密な庭園あちこちに作った。
本書は植木屋から将軍、大名、旗本、商人、寺社たちのそれぞれの庭園のあり方や特徴を、図版や写真を豊富に用いて詳細に描く。限りある日本列島という国土を彼らは慈しみ、手を加えて魅力ある国土を築いていったのである。
結論として、江戸の世に現代と並行的な問題があったと指摘する。歴史を学ぶのは単なる尚古趣味に終わってはならない。これから生きる指針を見出さねばならない。同時代のイギリスやフランスが世界に植民地を広げ、近代を切り開いたころ、我々の祖先は限られた国土を有効に利用し、今でいうエコロジーや持続可能な社会を実践していたのだ。その近代が数々の限界にぶつかっている今日、江戸の世に学ぶことは多いに違いない。