本書は,江戸・東京の都市について,河川との関わりから分析している.河川を重宝した江戸の生態的な都市システムが,明治以降の近代化によって壊されている具体的な事例を述べている.近年,環境問題の高まりから河川景観などへの関心も高まるが,現実に行われているのは,一部の計画者の偏見による審美の基準が,あらかじめ設定されている“好ましい眺め”であり,人が都市の中で快適かつ機能的に生活するためのプランではない,としている.本書は,人間の住むための都市のあり方について,河川という視点から多くの示唆を与える書である.