「かわせみ」の宿泊客が幼い子供をおいて姿を消した。子供は、木綿を染めた黄色い下着を身に
着けていた。そこから紡ぎ出された真実は・・・。表題作「江戸の子守唄」を含む8編を収録。
表題作「江戸の子守唄」は、大人たちの身勝手な思惑で幼い女の子の運命が翻弄されるという、
なんともやりきれない内容だ。また、お文というその女の子をかわいがるるいの姿がちょっと
切ない。東吾との間に子供でもいれば・・・と思ってしまう。
8編の中で一番印象に残ったのは「迷子石」だ。子を思う親の心。それが哀しい形となって現れた
ことに、胸が痛むような想いを味わった。ラストもつらかった。
「幼なじみ」も、そこに登場する男と女の心情が細やかに描かれていて、考えさせられる内容だった。
他の話も、江戸に暮らす人たちの喜びや悲しみが心にしみる。じっくりと読ませる、情緒あふれる
いい作品だと思う。