江戸の黄表紙に登場する化物について語らせたら、今やカバット先生の右に出る者はいない。
現実の価値観が逆転した世界、行き過ぎた世界を描いて笑わせてくれる黄表紙。そんな黄表紙に登場する化物たちのようすを、現代社会に通じる48のキーワードで解説。図版がたくさんあり、ぱらぱら見ているだけでも楽しい。
「ストレス解消(やけ食い)」や「ストーカー」の章で紹介される化物はちょっと怖いが、「ビジネスチャンス」や「ツアコン」の章の化物は何ともほのぼの。特に「ツアコン」で山から滑り降りる化物の絵には笑った。要するに、かわいいのだ。
黄表紙は古文の教科書にも載っていないし、大学で勉強する人をのぞけば、人知れず楽しむ古典という感じかもしれない。本書は現代に引きつけた解りやすい説明で黄表紙の世界へ導いてくれるから、化物や妖怪に関心をもつ人だけでなく、江戸の戯作文学に興味がある人にも格好の読み物だ。
原文の引用や解説が丁寧で、読みやすい。作品の出典や、どこの図書館に収蔵されているかも書いてある。気軽に読めるけれど、かっちりした研究を基盤として成り立っている本なのだ。