N・マキャベリの「君主論」、P・ケネディの「大国の興亡」、その師であったリデル・ハートの「戦略論」など、戦争を切り口とする書物の一つで、著者自身は『長編思想史エッセイ』と言っています。
作品の特色は、通常の月刊文芸雑誌での発表ではなく、「企業エクゼクティブ層や各界のオピニオン・リーダー」を読者とする「日本IBM社の広報誌:無限大」に1987年秋号から十回連載された事であり、著者はターゲットとする読者層を見据えて、日本での「戦争の学問=兵学思想」を造詣深い江戸・幕末を中心に丁寧に展開しています。
林羅山・山鹿素行・新井白石・荻生徂徠・頼山陽・林子平・蒲生君平・吉田松陰、等について論じ、徳川三百年の泰平の末、開国を迫る諸外国の軍事圧力に対応を迫られた時『幕末日本の未曾有の国難にあたって大局を透見し、かつ形勢に対応する強靭な論理力を発揮』した思想が日本に生まれたとしています。
後に中央公論社から発行され、司馬遼太郎・陳舜臣らを選考委員とする「和辻哲郎文化賞」を受賞しています。