江戸の寄席4軒で毎月「粋曲」あるいは「俗曲」という色物芸人として出演される柳家小菊さん。このCDでは、彼女の唄をたっぷりと聴かせてくれる。寄席の持ち時間はせいぜい15分程度だが、このCDでは、普段はなかなか聴けないような唄もあり、小菊さんの芸を楽しみたい人には是非お薦めのCD。なおかつ、CDの最後には、小菊さんご自身の解説トラックがあり、小菊さんのお喋りも聞ける。この喋りを聞くと、柳家小菊という芸人が、普段の声(解説のお喋り)と芸の声(唄)とを使い分けていることがよく分かる。つまり、柳家小菊という芸人の芸は、邦楽の本格の芸なのだ!早稲田を中退して新内の師匠に入門し、若くして注目を浴び(若き日にはLP「はじめまして、小菊です」というレコードも出しているほど)、寄席の色物芸人として今や欠かせない存在となり、ますます円熟味と益してきた小菊さんの芸。小菊さんの芸の特徴は、声が邦楽の王道芸であることに加え、非常に知的な芸、考え抜かれた芸であることであろう。小菊さんのお喋りも(好き嫌いもあろうが)寄席芸人としては非常に知的な雰囲気であり、知的に考え抜かれ、かつ理屈だけに終わらず、邦楽の王道としての唄を唄う、そうした芸人・柳家小菊の唄をいつでも聴ける素晴らしいCDである。発売されてから日が経つが、是非、第二弾のCDを出して欲しいものである。