本書は、日本建築やデザイン研究している学者のアズビー・ブラウン氏が日本の江戸時代が如何にエコロジーな国であったかを英語圏の人たち向けに紹介するために英語で刊行した書である。
その英語で出版されたものを、日本語に翻訳して刊行したのが本書『江戸に学ぶエコ生活術』である。
時は1797年(寛政九年)に、著者がタイムスリップした形式で書かれている。
訪れるのは地方の農村の百姓から江戸の職人(大工)や武家を訪ねながら客観的にこの時代を切り取って取材している。
挿絵も判りやすく効果的に挿入されているから、日本の江戸時代を知らない海外の読者には驚きと興味のある本であるだろうことは間違いないだろう。
ただ、本書で取り上げられている農家や商人や武士などのレベルが当時のレベルの平均的な人たちとは思えないから、本書を読んだ日本を知らない読者に誤解を招くかも知れないのが少し気になってしまったのである。
私は本書が良き江戸時代を輪切りにして描いている風景からはウソを書いていると言及するつもりはないのである。
が、あまりにも画一的な江戸時代風景を理想化して描いている著者の視点が少し気になったのである。
緻密に時代考証された江戸時代小説を多く読んでいる日本人にとって、さして目新しいことなど何も本書中で見つけることなどできないのだが、混沌とした社会を迎えた今こそ江戸時代の「エコ生活術」に学ばなければならないことも大いにあり、一読する意義があるかもしれないが・・・。