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江の生涯―徳川将軍家御台所の役割 (中公新書)
 
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江の生涯―徳川将軍家御台所の役割 (中公新書) [単行本]

福田 千鶴
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

浅井三姉妹の末娘―江。その夫である徳川秀忠は恐妻の彼女に頭が上がらず、長男家光は母から愛されなかった、などと語られることが多い。しかし史料を丁寧に読み解くことで見えてきたのは、それとは違う江の姿である。両親を早くに失い、頼るべき縁を持たず、明日もわからぬ戦国の世をどのように生き抜いたのか。将軍家御台所として何を守ろうとしたのか。極端に少ない史料のあいだから、いま、江が語り始める。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

福田 千鶴
1961年(昭和36年)、福岡県に生まれる。九州大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。博士(文学、九州大学)。専攻、日本近世政治史。東京都立大学人文学部助教授などを経て、九州産業大学国際文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 257ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2010/11)
  • ISBN-10: 4121020804
  • ISBN-13: 978-4121020802
  • 発売日: 2010/11
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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By モチヅキ VINE™ メンバー
 本書は1961年生まれの日本近世政治史研究者が、数少ない確かな史料に基づいて2010年に刊行した、翌年のNHK大河ドラマ主人公浅井江(1573〜1626年)の伝記である。江(ごう)は浅井家滅亡の年に浅井三姉妹の末娘として生まれ、11歳で母も失った。彼女は父母の仇でもある伯父信長や義兄(養父)秀吉の庇護のもとで、いとこに当たる知多の領主佐治一成との婚約(本書によれば入輿は無し)、次いで秀吉の甥羽柴小吉秀勝との結婚(死別)を経て、23歳で徳川秀忠(後に長姉の仇となる)と結婚し、将軍家光の母、天皇女御和の母としてその生涯を終える。彼女は多産で嫉妬深く、家光に冷淡だったとするのが通説である。しかし本書は史料の突き合わせ(正確な日時の確定など)と彼女の人脈、当時の女性の地位(正室・側室・侍妾の差異など)などの状況証拠から、以下のような意外な事実を明らかにする。第一に、江与はえどと読む。第二に、佐屋の渡一件は史実ではなく、江の離婚話も秀吉妹朝日の離婚話と混同されている可能性が高い。第三に、江の確実な実子は羽柴完子のほか、徳川千、初、忠長のみであり、これが特定の子への鍾愛や世継をめぐる摩擦を生んでいる。ただし、将軍家御台所としての江は、家光や和たちに対しても表向きの母としての役割をきちんと果たしたため、秀忠の侍妾の存在が表に出ない。第四に、頼るべき縁が薄かった江は、実子の婚姻や大奥において浅井人脈を重視し、徳川将軍家を支えながら浅井・豊臣の供養を一身に引き受けた。本書には状況固めのための細かな事実が多く、またやや断定しすぎている感もあるが、本書の実証の過程は比較的明快であり、身分制社会において女性の置かれた厳しい状況がよく分かる点も重要である。
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22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
徳川秀忠の正室として生涯を終えた、浅井長政の娘 (本書では、文献を検討した結果、「浅井江」または「浅井督」と表記するのが適当としている) については、今までに歴史家の書いたきちんとした伝記は一冊もなく、本書が最初となります。

一読して、断片的にしか残っていない史料を駆使しての、著者の綿密な論証に脱帽しました。
「江戸幕府の公式記録では、秀忠の子が、保科正之以外は全て正室の江が産んだ子であるとされているが、それは有り得ない。史料を検討すると、江が産んだことにする為に出生時期を操作したと思われる例が散見される」

「将軍の娘が大名家に嫁いだ場合、将軍家を憚って、大名の子供をみな正室の子としてしまう傾向があった」

「戦国時代、出生したばかりの娘を政略結婚でとりあえず『婚約』させて、娘は引き続き親の手元で過させ、12歳 (当時、女性が成年に達するとみなされた年齢) を過ぎてから輿入れさせることは珍しくなかった。なお、「婚約」しただけでも、結婚したと看做された」

「天下人や大名は、正式な『妻』を複数持つのが当たり前であった。秀吉の場合、おねが『妻』のトップであったが、江の姉である茶々は、「側室」や「侍妾」ではなく、歴とした「妻」であった。同時代の史料で、茶々を『豊臣秀吉の北の方』『政所』などと呼んでいる事例が多数ある」

「天下人や大名は、勝手に側に仕える女性に手をつけて良いものではなかった。妻の地位にある女性 (一人とは限らない) が選んだ『侍妾』(使用人待遇) が、夫の枕席に侍ることで、妻の権威、奥の秩序が保たれた」

「保科正之の母は、身分が低い「下女」であり、将軍の侍妾になる資格のない女であった。秀忠の妻である江が、侍妾として進上したのでない女が将軍の子を孕んでしまった以上、奥の秩序を守るため、保科正之の母は江戸城を出て密かに子を産まざるを得ない。江の嫉妬で、秀忠が側室を持てなかった、などというのは、当時の常識を知らない者の言うことである」

「秀忠の子のうち、江が産んだのが間違いないと思われる者は、みな、江の親族と婚姻している事実がある」

など、目からウロコの事実が多く指摘されており、私が今まで何となく疑問に感じていたことがいくつか解けました。良書として強く推薦します。

福田千鶴教授の今後の著作に注目したいと思います。
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By amedio トップ500レビュアー
現在、放送中の大河ドラマ「江」を観て、幾冊かの「浅井姉妹」の本を読みました。

戦国時代の女性については、あまり書かれたものも少ないらしく、もっと江の真の姿を知りたいと、この本にたどり着いた訳です。

「史料の少なさに、執筆に消極的だった」著者に、しかし、一般的に語られてきた「虚像である不幸から、解放したい」とも思わせた江は、著者のその思いから、この著書で、新しい姿をのぞかせることが出来たと思います。

少ないと言われながらも、当時、交わされた手紙などを「意訳文(読みくだし文)」を添えて、そのニュアンス、文章から読みとれる真実にページをさき、江や江をとりまく人物の行動や手紙もこまかに観察されています。

私は初めて、江の直筆の手紙を見ました。 (巻頭にあります)

興味深い部分として、副題にもなっている『徳川将軍家御台所の役割』が、書かれていますが、徳川の世になり、贈答品が御台所にも贈られ、その内容を記した注文(書)などが残されているのも面白く読みました。

本当に、著者の苦労がしのばれる一冊ですが、これから先、新たな文献などが発見でもされて、更に江についての「人生観」「女性像」「将軍の妻ぶり」があらわにされることもあるのかな、と期待してしまいます。

いろいろな史料を紐解き、当時の記録をも読めました。

最後に、著者は、江の生涯に『流されているようで流されない、しなやかさをもつ生き方』という文を書きました、そしてその文が強く胸に残りました。

時代は変わっても、女性にしかできない生き方、私も、しなやかに生きてゆきたいなと思わせてくれます。
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