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二人の飼っていた愛犬カキは半年前に死んでいた。もう辛いから動物を飼うのは嫌だと思っていた矢先、一姫が子犬をもらってくる。文句を言う二太郎。しかもカキを連れていつも遊んでいた近所の野原は、宅地造成のため潰されてしまった。そこにいたバイトの青年から、ここにも家が建つと聞いてやるせない思いの二太郎。犬がいなくなったら次の犬、野原がなくなったら次の野原...。「永遠の野原」はないのだろうか...。しかも今度は工事現場にいたあのバイトの青年が、「一姫さんの友人」と称して古屋家に出入りし始める。その青年、柳が来るたび露骨に嬉しそうな一姫。どうやら彼女は柳に友人以上の好意をもっているらしい。しかも一姫が連れてきた子犬も、実は柳がくれたものだとわかる。二太郎はちっとも懐かない子犬を前に、なんとなく柳に反感を抱いてしまう...。
姉弟を中心に、それをめぐるさまざまな人の人生を描いている。特別に大きな事件も起こらず、普通の人のごく普通の生活を、静かで穏やかな視点で描きだす。成長していくに従ってかわっていく姉と弟の関係、片思いでも一途な恋、自分を苛み、相手に拒絶されても追いかけずにはいられない恋、長年一緒にいて壊れてしまった関係、去っていった相手に対する思い、恋に恋する思春期の恋、大学卒業を間近にして思い知らされた自分の甘さ。季節の移り変わりの中で、ごく普通の人たちが自分の愛するものに対してひたむきに生きる様子が描かれていく。それは時としてうまくいかず、もどかしく、苦しい思いをするけれど、全てのキャラクターに対する作者の目はあたたかく、読んでいてほっとさせられる。
絵はシンプルだが人物の表情や個性など余すところなく表現されており、私は特に、二太郎の友人で無口な石田太や、田中真理子の表情がとてもよいと思った。時には台詞なしで人物の表情だけで気持ちが十分伝わるコマもある。
また、作者は愛犬家で、話の中に登場する犬たちも大切な役割をになっている。犬に愛情を注ぐことは、また自分自身も癒されることであるとこの作品は教えてくれる。
一人一人のキャラクター達は完璧ではないけれど、とても暖かい。
等身大のあったかいキャラクター達が癒してくれます。
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