翻訳の上手下手は私には分からないのですが、ところどころわざと(かどうかわわかりませんが)、
文章を区切ることなしに書いている一文があり、読みにくいところもありました。
内容も、あらかじめ表題で予告されているように、子供を失う親の、喪失の過程を描いています。
主人公の娘―ポーリーヌが、病に冒され、そこから延々と続く治療の描写、間に挟まれる文学の話
は取り止めがないように思えてこれもやはり読みにくさを助長しています。
しかし、治療の描写が続いた後、ぱっとそういった世俗の物事から切り離されたように展開される
文学論、そしてその帰結はやはりポーリーヌの病に結びつくと云った手法は、子供の病気、それも
死を約束されたものは、いかに親にとって辛いものかがよくわかる優れた描写ではないかと思いま
した。
くどいと感じる面もありますが、一方これだけの厚さの本で語られていることは唯一つ、娘の死で
あるのかと思うと、その一つの出来事がいかに重大な出来事かがわかります。
起承転結があるようでないような物語ですが、時にはこんなお話を読むのもいいかなと思います。