若さと死は、ガス・ヴァン・サントの得意とするテーマですが、本作もその二つが際立つ物語です。また、青年の成長物語でもあり繊細なラブ・ストーリーともなっています。
主な登場人物は3人。死に囚われた青年と余命幾ばくもない少女、そして青年の友人は、なんと特攻隊員の幽霊なのだ。生と死と、自死。このトライアングルの中で道が模索されます。
主人公イーノックは臨死体験により死の世界を覗き、時に不条理でもある死を理解できていない。「知らない人の葬式に勝手に列席する」たり「アスファルトに倒れた自分の周りに白墨で人型を画く」など、死への興味がつきない。
アナベルは難病で余命僅か、死にゆく自分のことよりも残されるイーラックを心配してしまうような女の子。彼女は「生」を指向している。モチーフとしては「ダーウィンが好き」で「進化が好き」。ともに生きる象徴だ。
ヒロシは自ら命を落とした自死の象徴であり死そのものです。
残された時間は少ないけれど、アナベルは生きることと自分の人生に深い愛情を注いでいることを、全身全霊でイーラックに教えることになります。イーラックとアナベルの恋は、切ないほどロマンチックdです。『難病もの』にありがちな過剰な演出など皆無なところがとてもいい。
演じる故デニス・ホッパーの息子のヘンリー・ホッパーと、「キッズ・オールライト」のミア・ワシコウスカの二人が共に素晴らしい。また、重要にして奇妙な登場人物・ヒロシを演じる加瀬亮も坦々と好演しています。彼が渡せなかった遺書ともなる『恋文』を読むシーンでは泣かせます。
ずっと戦闘服だったヒロシが、ラストに正装し、アナベルの“長い旅”の供をすると申し出たとき、イーラックにも生の輝きが理解できたはず。死がテーマの物語だが、最後には生きる希望へと繋がります...。