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単行本発売の年の『このミス2000年版』第1位の作品です。2位以下の作品に東野圭吾『白夜行』、3位福井晴敏『亡国のイージス』、5位桐野夏生『柔らかな頬』、7位奥田英朗『最悪』、15位に貴志祐介『青の炎』等々、そうそうたるメンバー・作品がありながら圧倒的な得票差にて1位を獲得したところにこの作品の底力を感じます。
少子化社会でありながら今でも繰り返される子供への虐待、超老齢化社会の日本が今後も抱える大問題介護、こうした社会問題を正面からテーマとして取り組みこの小説に昇華させた作者の思い入れに脱帽します。
読み進まれた方は殆ど感じられた事かと思いますが、優希と笙一郎・梁平の世界へ入っていく自分がこの5巻目に至ってハッキリと認識できてしまうのです。彼らにとっての幸せな時代は果たしてあったのか、あったとしたらそれはいつの事だったのか....最後の2行の言葉にも触発されて読み終えた今でも考えさせられてしまいます。
文庫の『永遠の仔』を読んで非常に得した気持ちになった事が2つ。一つは1~5の各巻に差し込まれていた写真と解説からなる作者自身の「製作ノート」、二つ目は第5巻の巻末「文庫版あとがき」です。
製作ノートはこの作品に対する天童荒太さんの思いと苦労が忍ばれ、併せ具体的なイメージとして『永遠の仔』の描写が浮かび上がってきます。
文庫版あとがきは人に寄りそう子と書く仔の字を敢えて使用したという裏話などに加え、膨大な量の参考文献が紹介されており、こうした事柄からこの作品に対する作者の思い入れがもの凄く伝わってくる内容として◎でした。
そうした意味からも単行本しか読まれていない方も文庫化されたこの作品を再読される価値が充分あると強くお奨めします。
この大作は私にとって大人としての責任をより強く意識させてくれた事と人間はいつまでも子供なのだ、という相反する事実を知らしめてくれた事に敬意を評して★5つ。
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