辺見庸さんが病に倒れられる前、講演を聞く機会がありました。「血圧が上がっていて少しぼーっとしていますが・・・」と話し始められた内容は、尊敬する先輩ジャーナリストの話から、イラク問題へとうつりました。デイジーカッター(米軍が使用した殺傷兵器)の破片を会場に回し「物書きとしては、どうかとおもうのですが・・・これを見て頂くことがインパクトがある」とはにかみながらおっしゃられたことが思い出されます。
特に印象的だったのは、日頃発言しないおとなしい教師が、職員会議で震えながら、君が代斉唱に反対した話をされ、一人ひとりが今、思っていることを口に出そうということを、静かに、だけど力強く話されたことです。この本では「わあがあよおはー」、「不敬」などに通じる内容です。
辺見さんが紡ぐ文章は、時には、ジャーナリステイックに、時には小説家らしくねちっこく、読む者の首に匕首をつきつけてきます。