「パンズ・ラビリンス」を監督したギレルモ・デル・トロが製作、J.A.バヨナ監督によるスペイン映画製ホラー。ホラーと言っても怖がらせることが目的の映画ではなく、焦点は悲劇的な運命をたどった子供たちの秘密にたどり着こうと奮闘する母親の心情を描いた作品。
海にほど近くかつて孤児院だった古風で大きな家に小さな男の子を連れた夫婦が越してきた。今は閉鎖されたその孤児院を医師の夫とともに再開しようと計画していた妻は昔その孤児院で育った。もともと空想癖のある一人息子は架空の友人たちのことを夫婦に話していたが、引越すとまた新たな友人ができたと言い出した。孤児院を再開するにあたって関係者を呼んだささやかなパーティーの日、無理を言う息子に多忙な母は怒って放っておくが、その後、息子が行方不明になり……
ビジュアル的には古風な邸宅の「アザーズ」風、かつて孤児院だった家にまつわるミステリー仕立てという設定は「デビルズ・バックボーン」を思わせるが、シナリオは個性的で意外性もあって楽しめる。血みどろのショッキングなシーンは皆無で終盤に登場する幽霊たちも全く恐くはないので、びくびくと構えて観るほどのホラー映画ではない。そして、なるほどと納得させられる悲劇的なオチによって導かれるラストに泣かされる。観る前にネタバレは調べない方が良いと思われる。
低予算映画を効果的な演出とシナリオで上手く魅せているところはギレルモ・デル・トロに追従するような仕上がりだが、ストーリーの底が浅くちょっと物足りない。しかし“泣けるホラー”としては一見の価値ありだと思う。