京焼の名家として代々家業として続いている永樂家における歴代の当主の作り出した京焼の名品を本書で堪能させてもらいました。永樂家は、千家十職の一つで、土風炉師・焼物師として、茶道具を中心とした作陶に精魂を尽くした名家です。
お茶の心得もなく、京焼の知識にも乏しいので、鑑賞眼もありませんが、それぞれの京焼からは各当主の個性も伺えますし、永樂家に伝わるDNAのような流れも見受けられました。気品、趣、風情、落ち着き、渋み、華やかさ、そして不変性というものを感覚的に捉えました。
得全の「仁清焼柳絵香炉」の美しさは格別です。また「蓬莱絵茶碗」という美しい絵柄のお茶碗を生み出した「得全室 妙全」というのは14代当主得全の奥さんです。そこには子がなくて甥(15代 正全)が継いだりしていますので、才能の遺伝として捉えるより、代々に伝わる家伝のような技術の伝播と見るほうが適当でしょう。
幕末に紀州徳川家より『河濱支流』の金印・『永楽』の銀印を賜った事から、永樂の姓を用いたそうで、中国明代焼物の赤絵や金襴手の華やかな意匠、また南方の交趾焼の鮮やかな色彩を得意として、京焼の世界に大きな花を開いているのが素晴らしいですね。
お茶をやっている人には垂涎の一品だと思える永樂家の当主の名品が掲載されていますので、そのような興味のある人にはたまらない1冊になると思います。