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氷
 
 

氷 (ハードカバー)

アンナ・カヴァン (著), 山田和子 (翻訳)
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商品の説明

内容紹介

異常な寒波のなか、夜道に迷いながら私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気象変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて少女は姿を消し、私はその行方を必死に探し求める。軍事独裁下の某国に彼女がいることを突きとめ、要塞のような〈高い館〉へ乗り込んだ私は、強大な力で少女を支配する長官と対峙するが……。

サンリオSF文庫版 (1985年刊) を全面改訳!
刻々と迫り来る氷の壁、地上に蔓延する抗争と殺戮、絶望的な逃避行。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで読者を魅了し、世界中に冷たい熱狂を引き起したSFの伝説的名作。

『氷』 は唯一無二の作品だ。その魔法の力によって、『氷』 は唯物論的なサイエンスファンタジーの視界を超えた領域に到達している。――ブライアン・W・オールディス


内容(「BOOK」データベースより)

異常な寒波のなか、夜道に迷いながら、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気象変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って、某独裁国家に潜入した私は、要塞のような「高い館」で、絶対的な力で少女を支配する「長官」と対峙するが…。刻々と迫り来る氷の壁、地上に蔓延する抗争と殺戮、絶望的な逃避行。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで読者を魅了し、冷たい熱狂を引き起したアンナ・カヴァンの伝説的名作。

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5つ星のうち 5.0 高揚感にともに流される, 2008/11/30
By ぷく (神奈川県) - レビューをすべて見る
アンナ・カヴァン、死の前年に書かれた長編。
85年にサンリオ文庫から出ていたものを、同じ訳者による
大幅な改訳が施され、今年リリースされた。
夏に出た本だと思うが、この本を本当に読むには
寒い、凍えるような季節がいい。

自身に酔いしれるような男の、身勝手とも取れる行動が
延々と綴られており、現実と幻覚が何の前置きもなく入り混じる。
この描写に読者も酔うことになる。
文章に翻弄されて、その高揚感にともに流される体験が満喫できた。

登場人物にはひとりも名前がない。彼らの行動は、
実に自分本位でありながら弱々しく、痛ましさすら感じるが、
氷と雪に覆われた世界とあいまって、
読む間、ずっと不安な印象を抱き続けた。
また、具体的な国名なども当然ないが、極寒の地に、
氷に覆われていく世界の終わりを描き出した筆致は果てしなく美しい。
夢野久作「氷の涯」のラストを髣髴とさせる。印象的だった。

カヴァンの生涯の壮絶さはともかく(解説に詳しい)、
個人的には改訳版を出すに至った経緯などを記してくださった
山田さんの訳者あとがきがとてもよかった。拍手。
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30 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 少女を守りながら残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。, 2008/7/7
By 夢追人009 (奈良県) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
1968年11月に享年67歳で謎の死を遂げて後に評価され始めた女流SF作家カヴァンが死の前年に発表して絶賛された伝説的名作が23年振りに改訳の上で復刊されました。本書は人類の終焉テーマに少女を追い続ける男の姿を絡ませた歴史的なSF長編小説です。地球全土を襲った異常気象による寒波の中、男は少女を追い続ける。何故か男を毛嫌いして逃げる少女。やがて某独裁国家を支配する強大な権力を持つ〈長官〉に捕えられ庇護を受ける少女を追って行く男だったが・・・。
本書の読み所は、男が追跡の途上で立ち寄る町や村の人々が危機的状況が進むにつれて人間性を喪失して行き躁鬱状態を繰り返す姿の描写、男がスパイ小説さながらに方々で危機を乗り越えて生き延び続ける強靭な生命力、そして男が妄念のように唯少女を救う事のみを生きる目的にして彷徨う姿にあるでしょう。男が望むのは性的な物では全くありませんし、恋愛対象ではなく大人と子供のような関係で、ひたすら守ってあげたいという渇望である事が純粋な感動を呼びます。個人の力では最早如何ともし難い運命を受け入れて、守るべき存在と共にいられる幸福を味わいながら、残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。唯、難を言えば男が少女に対して異常な程の思い入れを抱くに至った背景が最後まで明かされない所、物語の展開が大きな変化に乏しく面白味に欠ける点、人類の叡智や底力の頑張りが見られない所です(これは作品の性格上、止むを得ませんが)。細かい部分で物足りなさもありますが、構成がシンプルで理解し易く執筆された時代の息吹が感じられ、時を超えて読み継がれる普遍的な作品である事に疑いはありません。尚、巻末に著者の真価を認めたSF作家ブライアン・オールディス氏の懇切丁寧な解説文がついていて感動的です。最後に著者の作風の全貌を知る為に、他の傾向の作品群も多く読んで見たいと思いました。
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7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 内容はともかく, 2008/9/1
新訳というので楽しみに待っていた…。しかし、内容はもうはるか昔の匂いではない、新たなチャレンジを微妙にアレンジしている。これを是とするか否とするかは論議の分かれる所であろうから触れるのはよそう。
しかし、そうした内容の誤差や意訳はまだ許容範囲としても、もう何も「異論」を唱えられないアンナ自身がこの表紙カバーを見たらどう思うだろう。この表紙を制作した張本人は、原作は無理としても、旧作品を読んでいないのではないか、あるいは、作品の味わいを理解する能力に欠けるのではないかとさえ思う。耽美に自己陶酔した自己満足は、ヤキの回った「手なり仕事」を思わせる。
鳴り物入りでの出版…、作者アンナの人生を思うと、彼女に代わってこの作品に施された「死に化粧」に「異論」を唱えたい。憤りすら感じる。
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