NYで、裕福な老婦人ばかりを狙う連続殺人が起こる。
白昼にもかかわらず、痕跡を残さない犯人はまさに「透明人間」
「クリスマスに少女は還る」で強烈な印象を残す、オコンネルの第1作。
作者の原点とも言える、マロリー・シリーズだ。
主人公は、類稀ない美貌と頭脳を持つ、NY市警の巡査部長マロリー。
下手をすると嫌味にもなりかねないところを
そうならないのは、マロリーの生い立ちなのか。
自分の美貌も、我感知せず。
どこか不思議な「無垢」さが垣間見える。
ストリート・チルドレンとして生きていたマロリーを
拾ったのが、刑事のマーコヴィッツ。
そして、その妻のヘレン(故人)。
この2人が、マロリーの人生を大きく変える。
大人になったマロリーは、今も泥棒の心を持つ。
マロリーの中には「盗んではいけない」という観念は無い。
物心ついた時から”生きる”ために必要なことだったのだから。
ヘレンの誕生日に、盗んだ物をプレゼントして何度も泣かせた。
喜んでくれると思ったのに、何故泣くのか…
よくわからないけど、ヘレンが悲しむことはしないと決めた。
だから、ヘレンがわからないコンピューターの世界でハッカーとして
情報を盗む。
そして、養父の捜査を裏側から助ける。
話の序盤で、養父のマーコヴィッツが殺される。
敏腕刑事のはずのマーコヴィッツが、何故?
泣かないマロリー。
凛として、まっすぐに前を向き 犯人を追い詰めて行く。
それでも、読者にはマロリーの心が染み込んでくる。
今は亡き養父母とのエピソードが、所々に組み込まれ
絶対に涙を見せないマロリーと共に、心で泣いてしまう。
仇討ちとでもいうべき、マロリーの執念。
ストーリーは、連続殺人事件と株のインサイダー取引などが絡み合って
進んで行き、特筆すべきものではないかもしれないが
このマロリーを取り囲む人々がイイ。
故人の養父母に、どれだけマロリーが愛されてきたのかが
周りの人々の言葉から、伝わってくる。
決してセンチメンタル性はなく、淡々と物語が進むから
その愛情が際立ってくるのだ。
余談だが「クリスマスに少女は還る」で印象深い、アリ・クレイと同じく
顔に醜い傷のある女が登場する(マーゴ・サイドン)
オコンネルは、隠すことの出来ない表面的な傷と
見た目ではわからない、心の傷の両方を重ね合わせるのが上手い。
この後
「アマンダの影」「死のオブジェ」「天使の帰郷「魔術師の夜」など
続々と、このマロリー・シリーズが続く。
絶対に読もう!・・・とそう思わせてくれる、第1作だったことは間違いない