梨木さんの文章は、いつもしんとした水面のようだと思います。
テンポよくさらさらとは流せない。
このエッセイを読んでつくづく思ったのですが、とても上質な翻訳文のように感じるのです。
思考したことをことばにするときに、たくさんの語彙の中から選り分けているのでしょう。
そのために、いつの間にか真剣に向き合い、
ことばを咀嚼して自分の中に染み込ませようとしてしまいます。
明らかに「静」のひとだとばかり思っていた彼女が、
カヤックという大きな「動」の趣味を持っていることに驚きました。
自然へのまなざしや対峙の仕方は、作品によく表れていると感じることが多く、
やはり日々の生活の中から生まれて来る感覚やことばたちなのだと思いました。
ほんとうはこんな慌ただしい時期に読んじゃいけない文章です。
ひとりになって、沈思黙考したくなりますから。