相変わらず水族館は人気がある。
日本中の公共施設やら集客施設やらが軒並み苦戦しているなかで、水族館を訪れるひとの数は増えている。
この本によると日本には約100館の水族館があり、アメリカも100館だそうだから、日本は世界一の水族館王国、世界一の水族(魚や水の生き物たち)好きなのかも知れない。
さて、水族館づくりの仕事をされているという奥村氏の本は、新書らしく水族館がどのように誕生したかや日本の水族館の歴史なども概説されてはいるが、基本は水族に狂い(愛し)水族館に情熱をささげる人間たちのお話である。
本文中に何度か書かれているが、良い水族館、人気の水族館かどうかを左右するのは、そこに関わるひとたちの「人間力」なのだそうである。たくさんのひとを惹きつける水槽の向こうに、人間力が隠されている。
珍しい魚たちや巨大な水槽などがつくりだす美しく幻想的な世界。その世界をつくり育てるひととそこに訪れる感動するひと、それぞれの心のなかにあるロマンがバーチャルではないホンモノの生き物を通じて出会う場が、水族館なのかも知れない。現代は人間力がつくりだすホンモノに飢えている。
この本はしかし、そんな堅苦しい本ではなく、いろいろな楽しい魚たちの話、水族館に関わるユニークな人間たちの話にあふれている。
読後には、ふと水のなかの世界に想いをはせ、そうだ久しぶりに水族館に行ってみたいなぁと思わせる、とても楽しい本である。