この本は、一言で言うと「水問題(主に飲み水)に関心が薄い日本人に警鐘をならす本」です。
著者は、世界の様々な国々を旅してきた経験から、水がほとんど得られない地域や、水をめぐって国際間紛争になっている地域や、水が存在しても清潔で安全な水ではない地域がほとんどである現状について書いています。そして、今後、人口増や自然破壊等によってさらに水環境が悪くなっていく中で、日本人が安閑としていることに警鐘をならしています。
すなわち、(a) ダム開発や護岸工事など土建国家となった日本では、人と河川との関係はほんとうに疎遠になっており、きれいな水を守ろうという意識が乏しいこと、(b) 今後水がなくなっていく中で雨水の利用をもっと真剣に考えるべきこと、(c) 中国やヨーロッパの会社が日本の水源地域の森林をいとも間単に買収できる現状は危険であること、などが書かれています。
まとめて言えば上記のような本かと思いますが、(a) これまでの著者の旅体験から得られた考え方、(b) さまざまな水関係の著作を読んだ結果、(c) さらには水のプラントメーカーや河川流域地域への取材など、ほんとうにいろいろなことが書かれている本であり、少し雑多な本との印象もあります。
しかし、著者が一生懸命に水問題に自分の目線で調べて取り組んだことがよく伝わってくる本であり、なかなかの労作と思います。
専門的な観点からは他にももっと良書があるのかもしれませんが、私にとっては水問題を考えるきっかけになる良い本でした。