フランスの町ベルべスの丘を描いたカバーの絵に魅せられて購入した。その絵には爽快感があり、それは私が描けるようになりたいと思う種類のものだったのである。ところが、書中の淡彩風景画手本の大多数は、カバーの絵よりももっと、写真に近いような精緻さを持っており、いささか私の目指す絵のスタイルとは異なっていた。水彩画といっても、いろいろなタイプがあり、自分の好みにあったスタイルの絵を描く人の手になる本で勉強するのが最もよいように思われる。しかし、本書の著者の絵の明るさや優しさは、目を快く惹きつけて止まない。また、画材の話から、鉛筆デッサンや彩色のテクニックも紹介されていて、入門者に大いに役立つようになっている。そして、どのような画風に進むにしても、正確な描写ができるということが基本であることを考えれば、私や多くの人たちにとっても、熟練段階にいたるまで役立つ本といってよいのではないかと、思い直した。まえがきに「プロの絵描きは自分が編み出した技法を教えたがらない人が多いが、私は出し惜しみせずに公開した。」とあるのが嬉しい。