浸透員(工作員)のジョンヒは「愛」を知らない。
彼女に思いを寄せる「頭が悪くて隙だらけ」の同級生に閉口しながらも黙々と任務をこなす。日本の大学生活の中で最もフレッシュで甘酸っぱい季節、入学式から夏休みまでの間に彼女が経験する「吐き気」と「殺意」はそのまま彼へ惹かれていく思いの裏返しだ。
ジョンヒと同級生、それぞれの一人称で進む章ごとの、噛み合わない気持ちはごくふつうの恋愛感と実はすごく似ている。
同級生の日本人の若者らしい歯が浮きそうな立ち居振る舞いがよく描写されていた。
ジョンヒを待ち受けるこれからの人生の前にこんなこともあったのかと思うと切なくもあり、よかったのかもとも思う。