内容紹介
チッソよ苦海の声を聞け!時にはげしく、そして漁 の心をもって迫る患者たちの群像――。 1973年3月20日、熊本地方裁判所は患者の訴えを認め、チッソに慰謝料の支払いを命じた。チッソに初めて加害責任があることを明らかにした判決であった。その後、チッソ本社で生涯の医療と生活の補償を求めた直接交渉がくりひろげられる。この映像は交渉にあたる患者の行動を追う中で語られる、きわめて資料性の高い証言の記録である。 「死ぬまで面倒をみてくれろ」と誓約書への署名を求める患者。「慰謝料分は払うが、あとの要求は会社の体力からいって呑めない」と跳ねつける会社側。しかし、「人は何のために生まれてきたち思うか」と問いつめる患者に、チッソ側のかたくなな態度が徐々に突き崩されていく。この映画は裁判を自ら拒否し、加害企業チッソとの直接交渉を求めて坐り込んだ水俣病患者たちの、人間としての尊厳をかけた闘いの記録である。
監督について
1928(昭和3)年12月11日、岐阜県土岐市生まれ。1956年、岩波映画製作所の契約者として、映画の仕事に入る。国鉄のPR映画として企画された『ある機関助士』で監督デビュー、『ドキュメント路上』『シベリヤ人の世界』『パルチザン前史』を経て、1970年より『水俣―患者さんとその世界』など水俣病をテーマに17本の記録映画を連作、数々の映画賞を受賞した。2004年、その最新作『みなまた日記―甦える魂を訪ねて』を発表。近年は、ルサス映画祭(仏)、ロバート・フラハティー・セミナー(米)、イーラン国際グリーン映画祭(台湾)、雲南マルチカルチャー・ビジュアル・フォーラム(中国)に招待されるなど、世界的な評価を確立していた。著書『映画は生きものの仕事である』『逆境のなかの記録』(いずれも未来社刊)、『ドキュメンタリーの海へ―記録映画作家・土本典昭との対話』(現代書館、近刊)など。