同志社女子大教授による、水を題材にした科学リテラシーの啓蒙書。『水にありがとうと言うと美しい結晶ができる』と主張する江本勝氏の書を根拠のない疑似科学として糾弾しているほか、『体にいい○○水』を謳い文句にした”水商売”についての注意を喚起している。180ページ程度に文字数を抑え、一部難解な言葉はあるものの、可能な限り平易な文章を心がけていることで、中高生以上であれば2〜3時間で読破可能。
本書は水についての基本知識と悪徳商法を糾弾する内容となってはいるものの、基本的には科学リテラシーの書であり、超常現象を題材にした菊池聡氏や安斎育郎氏と立場は同じである。本書のメッセージは、心地よい響きの謳い文句に短絡的に騙されずに、合理的・科学的に物事を考える習慣を身につけることが重要であるとしていることである。先の商法に騙される人の知性レベルに併せた内容でわかりやすく記述されている点も良心的である。
敢えて難点を述べるならば、似非科学を糾弾する根拠として、具体的なデータを挙げなければ場合によってはまさに”水掛け論”になってしまうと思われる点があること。たとえば、○○水はいいことが科学的に証明されたとする発表にたいし、そうではないことが○○研究所によって確認されたという記述のみではややパンチ不足であるように感じた。それぞれの根拠・データを並べて検証するような内容の方が先の問題点を解決でき、より読者も納得できるように思う。この点において、菊池聡氏の『超常現象をなぜ信じるのか』にすこし劣る。また、やや値段が高めかなと感じた。
以上考慮して、星4つの評価。ただし、科学リテラシーの書を読んだことのない読者には星5つの価値で薦められる入門書。