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水いらず (新潮文庫)
 
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水いらず (新潮文庫) [文庫]

サルトル , Jean‐Paul Sartre , 伊吹 武彦 , 窪田 啓作 , 白井 浩司 , 中村 真一郎
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

性の問題をはなはだ不気味な粘液的なものとして描いて、実存主義文学の出発点に位する表題作、スペイン内乱を舞台に実存哲学のいわゆる限界状況を捉えた『壁』、実存を真正面から眺めようとしない人々の悲喜劇をテーマにした『部屋』、犯罪による人間的条件の拒否を扱った『エロストラート』、無限の可能性を秘めて生れた人間の宿命を描いた『一指導者の幼年時代』を収録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

サルトル
1905‐1980。パリに生れる。海軍技術将校だった父を亡くし、母方の祖父のもとで育つ。高等師範学校で哲学を学び、生涯の伴侶となるボーヴォワールと出会う。小説『嘔吐』(1938)、哲学論文『存在と無』(’43)で注目され、戦後「レ・タン・モデルヌ(現代)」誌を創刊。実存主義哲学の旗手として文筆活動を行い、知識人の政治参加を説いた。’64年、ノーベル文学賞に指名されるが辞退

伊吹 武彦
1901‐1982。大阪生れ。東大仏文科卒。京大文学部教授を長く務めた

白井 浩司
1917‐2004。東京生れ。慶大仏文科卒。慶大教授、のち名誉教授

窪田 啓作
1920年神奈川県生れ。東大法学部卒。詩人、作家。元欧州東京銀行頭取

中村 真一郎
1918‐1997。東京生れ。東大仏文科卒。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 334ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1971/1/30)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4102120017
  • ISBN-13: 978-4102120019
  • 発売日: 1971/1/30
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
サルトルの短編から中編の小説を集めた一冊です。
この本のとっつきにくさは否定しません。翻訳作品の読み辛さに加え、内面描写が延々と続く点などは人によっては辛いかもしれません。
でも、これ以上にとっつきにくい本なんて星の数ほどありますし、難解過ぎることも決してありません。これは、小難しく実存主義なんてお勉強してなくても、十分楽しめる一冊だと思います。
確かに、ここに収められている作品には実存主義の思想が織り込まれています。しかし、それが知識として実存主義をよく知らない人に解釈を拒むことにはなりません。むしろこの本を通して、実存主義に関してよく知らない人でも、実存主義そのものを感覚として知ることが可能なのです。
また、仮にこれらをはじめとするサルトルの小説が、ただ彼の思想を流布するためだけのものだったなら、今日、彼が作家として語られることは無かったでしょう。
彼が哲学者という肩書きと同時に作家という肩書きを得たのは、彼の小説が純粋に小説としての面白さを持っているからではないでしょうか。
私自身、実存主義なんて知らなかった時にこれらの小説を読みましたが、小説として大変刺激的で面白いものでした。
「壁」の緊張感溢れる魅力、「一指導者の幼年時代」の自己欺瞞に対する視線。サルトルの鋭さに痺れること請け合いです。
言葉を根気強く追い、流れに身を任せ、なおかつ想像力を働かせる。
この本を読むには、実存主義の知識よりも、感覚を研ぎ澄まして挑むことが必要だと思います。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「実存主義文学の出発点に位する」「実存哲学のいわゆる限界状況を捉えた」などと、本書の背表紙には説明がある。
が、しかしこれではさっぱりわけが分からない。
こんな小難しいことを書かれては、読む気が失せてもしょうがない。

この本は小説の形をとっている。
ならば、思想うんぬんよりも、小説として読めばいいと思う。
「壁」「エロストラート」あたりは、心理描写の変化を描く物語として、十分に面白い。

「どう生きて死ぬか」、それがテーマなのだと思う。
神の救いを否定し、人生の意味を否定するということは、一見ネガティブ極まる。
しかし、そこには「神の道具ではありたくない、自分はここにいる人間である」という希望がある。

甘い水よりも苦い水を求める。
そんな姿勢が気になる人は読んでみては。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Schizo
形式:文庫
実存主義を打ち立てた哲学者が書いただけあって、ここに収録された五篇はどれも、人物の内面描写が中心となっている。とはいえ、あくまでも小説なので描写は観念的になりすぎない。実存的な感覚とはどういったものかをめぐる、肉感的な表現が頻出する。

なかでも、物の生々しさへの不快感や恐怖感、特に人間の肉体への違和感は全篇に共通して流れている。登場人物たちは、たとえばセックスへの不快感にとらわれ、「なぜ人間には体があるんだろう」と感じるリュリュ(『水いらず』)や、自分の考えや行いとは無関係に存在しつづける自分の体にとまどう思春期のリュシアン(『一指導者の幼年時代』)のように、自分ないし他人の肉体を異物として感じる。
さらに彼らが異‐物としての身体を抱えている以上、彼らのあいだでいとなまれる性愛が、人格の交流としての「愛」よりも、性器と性器(物と物)の奇妙な接触としての「性」に重きを置いて立ち現れるというのも頷ける。
また、狂気/正常の襞が重層的に織りなされるにつれ、もはやだれが本当の狂気なのかが分からなくなる『部屋』や、自分で自分を犯罪へと駆り立てていく男を描いた『エロストラート』に見られるように、人間精神の暗黒面を剔抉した場面も多い。
そして、実存の肉体性や、健康からの逸脱といったこれらの感覚は、『嘔吐』のロカンタンへと結晶していくことになる。

五篇のうちでは、死を目前にしてみずからの実存の有限性に直面する囚人を描いた『壁』に、死への凝視の真摯さという点で特に好感を持った。「きれいに死にたい」という、その願いさえ叶えられそびれた人間はその後、どのように生き延びていったのだろうか。
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