■「ヒュドラ第十の首」(法月綸太郎)
妹を死に追いやった、妹の不倫相手を捜していた蟹江陸朗。
当初蟹江は、妹の不倫相手について、“ヒラド・ノブユキ”という
名前しか知らなかったのが、 独力で調査を進め、三人にまで
候補を絞り込んだ。しかしその後、何者かに殺害されてしまう。
犯行後、犯人は証拠を隠滅するため、蟹江の部屋を荒らしていたのだが、
その際、なぜか軍手5枚(右手2枚・左手3枚)を取っかえ引っかえして
使っていたらしい。
警察は、三人の“ヒラド・ノブユキ”を
容疑者として捜査するが、難航し……。
犯人に付与された属性がなんであるかはすぐに気づくと思いますが、それを
もとに消去法を行う際には、容疑者たちの職業や趣味なども併せて検討して
おかないと、まんまとレッドへリングにひっかかる羽目になります。(【解答篇】
の直前に示される決定的な手がかりも、読者の意識をレッドへリングに向ける
巧妙なものになっているのが素晴らしい)。
論理的な消去法の後、容疑者の輪の外からフェアに《意外な
犯人》を取り出してみせる、クイーン譲りの演出もお見事です。