現代の平和構築の実情を知る上で良著である。
日本国内では、軍事組織(自衛隊を含む)が平和構築に関わることに批判的な意見が少なくないが、本書を読むと、破綻国家(脆弱国家)の平和構築を進める上で、文民組織と軍事組織の連携・協力(CIMIC)が、いかに重要であることがよく理解できる。本書は、そのCIMICの先駆者である米軍に焦点をあてて、第2次大戦後の日独占領からコソボの国際平和活動までの、CIMICの変遷について詳述した、日本語による初の学術文献である。ただし、従来の学術文献にありがちな堅苦しく、無味乾燥な内容を避けて、随所に写真や図表を掲載することで、平和構築の分野の門外漢でも、手に取りやすい(読みやすい)工夫がなされている。例えば、ソマリアやボスニアでの米軍の国際平和活動は、小説並みの面白さである。
本書は、軍事専門家ばかりでなく、平和構築や人道支援に携わっているNGOや、関連テーマに取り組んでいる研究者・大学生にも是非お勧めしたい。