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民族や文化ごとの亀裂を埋めようとしない傾向にある多文化主義,少数派を抑圧する傾向にある普遍主義を退けた上で,著者は本評冒頭で述べた世界観を前提に,多数派と少数派が相互影響し融和して行く可能性を主張する.「融和」とは,多数派による少数派の吸収という暴力的抑圧的なものではなく,「融和」する過程において多数派もまた変容することが期待されている.
著者のビジョンや議論に対する評価は個々の読者に委ねたが,民族論というと歴史的事実を題材に「民族」概念の虚構性捏造性を暴くといったようなアプローチが多い中,社会心理学の実証研究などを引きながら議論を組みたてて行く本書の手法は,私には目新しく興味深かった.とりあえずお勧め.
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