現職裁判官が、いわゆる建前論を排し、相当フランクに民事実務上の問題点やそれに対する処方箋を論じた異色の本。もっともテーマはそれに留まらず、制度論や更には法曹が備えるべき資質等についても踏み込んでいる。記述が若干裁判官に甘く、弁護士等に辛いように思うが、立場による事実認識の制約は筆者自身が認めるところであるし、それに婉曲な表現ながらも裁判官・裁判所の問題にも踏み込んでおり、筆者の知的誠実さが随所に見られる。分厚いので最初の頁をめくるのに多少勇気がいるが、読み始めると退屈せず最後まで読めた。タイトルにあるように、実務家以外も読者として想定されているが、やはり一番実務家が読むべき本なのではないかと思う。