現時点では、一冊だけで民訴を司法試験レベルまでもっていける唯一の書物だとおもいます。
素晴らしい洞察力がある。
1 民訴は難しい。くだらない抽象論が多いから。
本書は無駄な抽象論を徹底排除。
しかし抽象的だが根幹にかかわる理論は
きちんと説明してあります。
2 要件事実論を完全に取り入れて説明があります。
期日前論点整理では要件事実はいまや常識です。
その上に立って訴訟代理人は裁判官とやりあう。
だから要件事実は民事実体法と訴訟法のカナメ。
本書には売買契約を要件事実的に例示。
丁寧な説明があります。
主要争点は具体的な例示があります。
判例百選の参照をいうだけで答えが書いてない。
しかし本文を読めば何が問題かすぐわかります。
3 併読して効果的なもの
研修所刊「民事訴訟における事実認定」
藤田「解析民事訴訟法」
★ コンパクトに学習しましょう。
厚い本を読んだからといって合格しません。
4 判例集が必要。法科大学院在学であれば何か
もらっているでしょう。それでもいい。
なければコピペして自作したらいい。
受験用に必要なのは高々50ぐらいです。
5 本書は基礎なのでワンランク上の本を必要と感じるひとは次の二冊が受験には効果的です。
ひとつは伊藤眞「民事訴訟法」 これは東大の民訴の先生の本です。ゆえに裁判所法務省への影響力が大きい。
事実審の裁判官が今一番参照しているものです。
新堂新民訴もありますが、伊藤先生のもののほうが新しいし旧訴訟物で一貫していて抵抗感がない。
★ 実像としての伊藤先生は蝶ネクタイと禿げあがった広い額が特徴の長身の先生です。非常にいい先生。
よく考えてから外に出すタイプ。だから直観で話す鋭さはありませんが確実。
もうひとつは藤田「解析民訴」 中身は司法研修所に入所すると短期で詰め込まされる民事関係のものとほぼ同じではないかとおもう。
非常に受験向きに書いてあります。内容は高度ではありませんが実務対応で堅実。
そのほかもあると思いますが、本書より厚いものはそれなりに詳しいし個別の問題点を精密に拾っています。
受験のためにたとえば解析民訴を並行して使うとすれば、解析民訴は、本書でいえば3(訴えと請求)4裁判所 5当事者
6審理(一審中心の手続き)7弁論主義 8事実認定と証拠 9判決にほぼ対応していますので、本書を読んで
そのあと解析の対応個所を調べて読むというのが最初に来る方法でしょう。
そのときはめんどうがらず判例も調べてください。
ここまでくると解析をばらばらと飛ばし読みしている状況になりますので、なんとなく全体が見えてきます。
そこで次のステップでは、基本書を解析に変えてもいいしそのまま本書を読みこむことにしてもいいと思います。
★ 本書に書いてないことは新司法試験に出ないと思います。応用が利くし基本をしっかり押さえています。
対比して解析は饒舌に語りますが言ってることは単純。つまり判例重視。
二冊とも理解することを先決に読みましょう。
記憶だけだと勘違いしてはいけないです。
たとえば、マイナーですが理論的に決定的なポイントとして職権調査事項と弁論主義の関係がありますが、解析にははっきり通説が
書いてあります。ここは有力な異説があって実務を知らない民訴の先生だとなぜ通説異説の議論があるのかすらわかりません。
解析の著者は元裁判官なのでこういうところはばっちりです。
不幸にして実務家教員のいい先生がいないところにおられるのであれば自学以外ないでしょう。すこし忍耐が必要。
ご健闘を祈ります。