著者は、ソフトウエアだけにとどまらない、と前置きをしていますが、
本書で多くの紙面を割いているのは、まぎれもなく、オープン・ソース
ソフトウエアのムーブメントです。
この分野が、特にリード・ユーザ改善が顕著に見られるということも
あるのでしょうが、時代は、「私、消費者、使う人」「私、企業側
で開発して提供する人」というような、わかりやすい分業時代、すなわち
同品種大量生産、大量消費時代がとっくに終焉し、多様な価値観を、
コミュニティで共有しあい、ユーザと企業がいったいとなって、製品、
技術の革新を進めていく時代の入ったことを実感できます。
タイトルはイノベーションとなっていますが、本書にたくさん掲載
されている事例は、「革新」的なものもあれば、「改善」を
指している場合もあり、一概に、すべてがユーザ主導のほうがよい、というわけではなさそうです。
そして、本書の、多面的な実証分析を通じて、確かに、「知識経済の
時代」に突入したことを改めて認識しました。
オープン・ソースの世界や、マウンテンバイクの歴史は大変
興味深く詳説されていて、おもしろいです。