満州国建国に携わり夢破れて敗者(帰国後もあまり脚光を浴びることのなかった)となった人々を記録した「「敗者」の精神史」という山口昌男氏による著作があった。この本はさしずめ、政権交代における「敗者」の精神史である。著者はさすがにインタビュー対象を敗者とは定義せず伏流水という表現を使っている。たしかに、すべての登場人物が敗者とは言い難いが、政権交代の礎となり、にもかかわらずその栄誉をうけることができなかった人々の行動を記録することによって、それらの人々の想いを後世に残そうとする労作である。筆者の好みもあって、団塊の世代の紹介が中心となっている点にはすこし距離感を感じてしまう。しかし、今回の政権交代で、ポットでで議員になってしまった方々には、あなたのその地位を確保するために、あなたの何千倍も苦闘した人々がいることを知ってもらうためには、最良の本である。でも、そういうポット出の議員にはそんな感性も多分持ち合わせていることはあまり期待できないが。