中川八洋名誉教授は「真正保守」の立場から、亡国に至る法律の数々をわかりやすく解説している。また、我が国の学者・政治家にいかに赤い将校の血が流れているかをいやというほど教えてくれる。彼らの不可解な言説や行動は、その思想的出自にあったのだ。元総理大臣を分析し、その政治姿勢にある矛盾を指摘した内容は、専門家でなくても納得する。
先の衆議院選挙では共産思想の民主党が圧勝した。つまり我が国は政治家・学者・テレビ・新聞等のメディア、そしてなにより国民の多くが共産主義者だと云うことである。「歴史と伝統」に生きる日本人は少数派として耐え忍ぶしかないのだろうか。
本書において最も重要なことは、著者が「真正保守」と「民族派」の対決的な立場を明確に図で示したことである。この構図が我が国の惨状をあらわす決定的なものだろう。先の大戦における「アジアの解放」が「アジアの共産化」だったことは戦後に共産主義国として独立した国々をみれば一目瞭然である。民族派はそれでも大東亜戦争を賛美するのだから、著者のいうとおり、そのDNAに共産思想がある。
『諸君』は民族派やアナーキストで溢れた末に休刊となった。『正論』もほぼ同じ道をはやい速度て歩んでいる。いまや我が国のオピニオン誌に「真正保守」は存在しない。民族派ではない「真正保守」を志向するプロデューサーがあらわれて、中川八洋雑誌が創刊されることを熱望する。