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民主主義とは何なのか (文春新書)
 
 

民主主義とは何なのか (文春新書) [新書]

長谷川 三千子
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (29件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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   民主主義を称揚するのはたやすいが、疑義をさしはさむのは容易ではない。猛烈な反発に立ち向かう勇気と膨大なエネルギーが必要だからだ。本書は知のエネルギーを最大限にふりしぼって、民主主義の「いかがわしさ」に挑んだ渾身の労作である。

   近代民主主義を語るとき、まず思い浮かべるのは「人権宣言」である。しかし、フランス革命が人権の名のもとに「共同体の伝統的生活」を破壊し、ジェノサイドを行うのを間近に見た当時のヨーロッパ人にとって、デモクラシーは「無気味なもの」であった。その「いかがわしいデモクラシー」を「紛れもなく正当な言葉」に大転換させたのは、第1次世界大戦の戦勝国だった、と著者はいう。

   もともと「だれも欲しなかった戦争」を大戦にまで煽り立てたのは、かつてトクヴィルが恐れた「民主主義の大洪水」にほかならない。民衆は戦争の大義に「デモクラシー」を求め、いつしか戦争は「軍国主義ドイツ対民主主義国」に図式化され、そして軍国主義に勝利した民主主義は「おそろしく強引な論法」によって「よい意味を確立」した。その「いかがわしさ」はナチズムの誕生で頂点に達するのだが、著者はこのように民主主義にビルトインされた僭主制の危険性をアテナイの民主政治にさかのぼって説き明かす。

   民主主義の根幹である「人権」に対しても、著者の目は容赦ない。「人権」の概念を初めて提示したのは、17世紀イギリスの思想家トマス・ホッブスである。個人が己の「自然権(人権)」を放棄し、人間相互の「安全保障契約」を結ぶプロセスを保証するのが、ホッブスのいう「主権」で、これは「独立宣言」と「人権宣言」が「創造主」ないし「至高の存在」によって与えられたとする「人権」とは正反対のものだった。

   ホッブスの主権は2つの宣言を通る過程で闘争的権利に変質する。その結果、現代民主主義社会は「悪玉」を求めて「権利」が増殖する混乱状態に陥ってしまった。ホッブスの思想をこのように倒錯させた張本人はジョン・ロックである。この思考停止状態を抜け出して「国民のための政治」を考える出発点に立つには、ロックのペテンにいち早く気づくことである、と著者は言うのである。(伊藤延司)

出版社/著者からの内容紹介

誰もがデモクラシーを「よい」ものとして疑わない。だが古人はそこに不気味ないかがわしさを見た。なぜか──現代の根底に迫る思索

登録情報

  • 新書: 230ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2001/09)
  • ISBN-10: 4166601911
  • ISBN-13: 978-4166601912
  • 発売日: 2001/09
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (29件のカスタマーレビュー)
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30 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
民主主義の悪口はよく聞くが、しかし多くの人は依然として民主主義を高く評価しているのではないだろうか?最近でもイラク問題を批判する人は多かったが、イラクの民主化というアメリカの大義名分を批判する人は少なかったように感じる。部族が乱立するイラクに民主化などという概念が有効なのか?と疑問に思ってしまうのだが。もし、あなたもそのような疑問を持ったのならこの本がお勧めである(ただし本の中にイラクの民主化の話は入っていないが)。
そもそも近代西洋が”理性”によって”発明”してきた数々の偉業(民主主義や資本主義)は本当に最高なのだろうか?たかだか200年のうちに一握りの天才達によって編み出されてきた”高尚”な概念(人権や平等思想)は絶対なのだろうか?私にはそんな人工的な概念が、人類が数千年の長い年月をかけて醸成してきた複雑な社会や文化を凌駕すると信じられることに疑問を持ってしまう。そんな疑問を持っている人達にもこの本を薦める。この本はそんな近代西洋に対する鬱憤も晴らしてくれる。
この本の主張は少し過激な部分もあり信憑性に欠けると感じるかもしれない。原典に接していない勉強不足の私に判断することは出来ないが、そんな私ですら、なんとなく無理があるのではと思ってしまうところがあったのは確かである。特にロックの解釈がどこまで正しいのかには疑問が残る。また結論もすこし安直過ぎるような気もする。しかしマルクスや経済人類学が資本主義や貨幣経済の問題点を指摘していることが評価できるのと同様に、民主主義についても、君主制などを単純に悪と決めつけ民主主義を「最高ではないが、現在、考えうる限り最良の政治システム」と嫌々ながらも評価して思考停止するのではなく、本質的な部分で批判をしていくべきであろうと思う。この本はそのようなことを考えさせてくれたという点で高く評価しているのだが、著者の論があまりにも明快すぎて、どこまで信じていいかわからない(個人的には信じたいのだが)という不安にたびたび襲われたので星を一つ減らして4つにした。
最後に、読めばすぐわかることだが、この本の著者は右よりの私から見ても右寄りである(まあ右よりの私にはまったく問題ないのだが)。そのため左よりの人は少し読むのが苦痛かもしれない。
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40 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 形外
形式:新書
我々が自明のこととして普段あまり考えないことを長谷川三千子は問題にしている。民主主義をその思想的成立の歴史をさかのぼってその本来のあり方を分かりやすく描いている。ギリシャの民主主義、フランス革命、アメリカ独立戦争など民主主義を論じるうえでかかせない出来事の思想背景まで立ち入っている。難解な文章ではありません。しかし長谷川氏の文体を難しいと思う場合もあるかもしれません。前半は速読推奨、理解度六割でよいと思います。圧巻は第四章「インチキとごまかしの産物ー人権」です。そのなかでホッブスのリヴァイアサンを論じたところが印象に残っている。高校時代の退屈な倫理の授業と比べて刺激に満ちている。ある意味「リヴァイアサン」の読み方を指南しているといってもよい。

神なき世界において、ただ自らの権利をかざして傲り高ぶる人間達は悲惨な状態に陥るしかない。彼らが再び幸福な人間らしい生活を送るためには、なによりその傲慢を克服することが不可欠である。そのためにこそ「国家」が建設されなければならない。そういうあらすじです。

ホッブスの解釈の仕方を読めばお分かりのように長谷川氏は十分に読み込んでいる。僕にも「リヴァイアサン」を読んでみようかなあと思わせる力量です。
この本を読むことで現代の人権屋たちの厚かましさを理論的根拠をもって眺めることが出来る。また民主主義をいかに飼いならすか、よき方向に導く指針ともなると思います。

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15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 考えること、疑念をさしはさむことをタブー視されているものは多い。民主主義もその一つであろう。民主主義の弊害は、古今多くの人々が指摘してきているにもかかわらず、「至高の原理」であるととらえられがちであるが、本書は改めてそのことを気づかせてくれる。

 ただ、筆者がホッブズを賞賛されておられるように感じられるが、これは腑に落ちない。ホッブズはロック、ルソーと同様、古来の「法」(道徳・慣習・宗教など)の支配を排斥し、「理性」による政治を賞揚した人物である。彼らの思想に「民主主義」はその源を有するのだが・・・
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結局なんなのか・・・
民主主義がその成立当初は「いかがわしいもの」であったことや、ホッブズの思想についてはとてもわかりやすかった。だが、ロックについては論理に無理があるように思える。ま... 続きを読む
投稿日: 2か月前 投稿者: tylcho
超駄作
著者は「民主主義」の欠陥を強調するのに夢中になっている。しかし民主主義が衆愚政治に陥る恐れがあることは常識だ。それでも独裁主義よりましだというのが現代の通念だ。著... 続きを読む
投稿日: 23か月前 投稿者: 虎之助
しかし、それでも廃棄ということにはならないのでは?
ゼロ年代以降「ネットの民主主義」がこうも頓挫した後では、もはや魅力も
半減してしまったといえるかもしれないが、それでもまだほのかに、民主... 続きを読む
投稿日: 2010/5/18 投稿者: 倒錯委員長
民主体制
民主主義という戦後、不倶戴天のものになった思想に対する研究書です。
かつてハイデガー研究者だった著者らしくデモクラシーという言葉の変遷から... 続きを読む
投稿日: 2008/4/12 投稿者: 人文社会ルプザレジオン
「理性的」とは、かくも困難なものか・・・
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投稿日: 2007/7/9 投稿者: renqing
民主主義の盲信から抜けて
この本から、民主主義はいけないんだ!、と読み取ってしまうのは(筆者はそう思っているのかもしれないが)よくない読み方だろう。... 続きを読む
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批判のための強引な批判
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「迷路」から抜け出してほしい
痛ましい。著者の書くものすべてが,いわば,あまりに偉大すぎる祖母(野上弥生子)へのインフェリオリティ・コンプレックスの表明だといえるからだ。もういい歳なのだから,... 続きを読む
投稿日: 2007/1/21 投稿者: アマゾネス
最高
なにやら左派の方々には耳の痛い主張らしいが、オルテガ、コーク、バーク、トックヴィル、リースマン等の思想、哲学も併せて読めば著者の主張は明快です。民主主義等所詮は民... 続きを読む
投稿日: 2006/8/16 投稿者: カン
THERE ARE MORE THINGS IN HEAVEN & EARTH
  著者は野上弥生子の孫である。日本固有の思想についての 「からごころ」 といふ評論の評価が高い。本書は、著者が現代日本の 「からごころ」... 続きを読む
投稿日: 2006/4/21 投稿者: さよなら桜
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